からめ

からめ

小説担当むーと漫画担当みーによる創作BLを公開しています。

『いやがらせ』(執着攻め×強気受け)

 体内に宿る怨霊を、コントロールする事ができなくなるのは、いつも情緒不安定な時だ。怨霊は容赦なく、既に定員数に達している体の中に入って来て、鬼李の体を膨れ上がらせる。出来たらすらりとした細身の男で居る事が望ましいと考えている鬼李の心を無…

『闇の怨霊、光の鶴』(執着攻め×強気受け)

 キラキラと光る善良なものになりたい、という欲求が俺の内側を刺激するのは、俺の成分には人間が多く含まれているから。 人間はいつも清らかになることを目標に転生を繰り返している。「鶴……?」 腹の上で腰を振る綺麗な男に声を掛けると、とろりとした目…

『泣いた青鬼』(尽くし系強面×恋多き紳士)

 『怪PR社』の営業部フロアは、第一第二第三を壁でハッキリと分けている。しかし透明に透き通ったその壁は、音こそ遮断されているが、誰がどんな動きをしているのか見渡せるようになっていた。 個人プレイヤーの多い第一営業部は今日も人影がなく、人海戦術…

『オトナとコドモ』(世話焼き攻め×マイペース営業マン)

 二年前、営業から人事に回された時、妙な感覚に襲われた。突然、何もないところで転んだ時のような放心状態。 少しほっとした自分がいた一方で、作りかけの砂山を崩されたような、変な悔しさも残っていた。 自分がそうしたスッキリしない状態のまま移動し…

『小豆の熱』(生真面目×俺様)

 「あら太ぁ~」 廊下から、間延びした低い声が自分を呼んだ。 牛鬼が長いトイレからやっと帰って来たのだ。 まとめた書類を鞄に突っ込み、バタバタとフロアを出る。 広い肩幅と逞しい胸の目立つ、体育会系の肉体を高価なシャツの下に潜ませた色男……『…

『娼婦のムスコ』(強気攻め×気弱受け)

 バーに備わった大理石のトイレ、その限られた狭い空間で。数分前まで繋がっていた相手。タカは異性愛者だった。 そうした用途に使われやすいこの店のトイレには消臭機能と洗浄器具、コンドーム自販機まで都合良く備わっており、現在、事後の匂いの消臭…

『トイレの精』(強気攻め×気弱受け)

同性愛者の自覚があり、同性愛者の集まる店に行った。 二十も中頃、故郷ヴィンチでは父親になっているのが普通、という年齢で、俺は「恋人」に飢えていた。ヴェレノは同性婚が認められているし、真面目に「相手」を探すのもいいかと思った。 赤っぽい照明が…

『かわいそう』(野心家兄×無気力な腐男子弟)

私生児として生まれたが、父代わりの伯父がいた。 母は優しく、母と俺を家に置いていた伯父一家は温かだった。俺は恐らく、弟より恵まれて育ってきた。「タクオ、鍵を外せ!!」 弟の引篭もった小屋の戸を叩きながら、俺はどうしてこの弟に構いすぎるのか考…

『味方以上、敵未満』(面倒見の良いオラオラ系×変人権力者)

ルカスの部屋にはいつも、乾いた果実のような品の良い薫りが、ほんのりと漂っていた。木製の家具が多く、茶系の配色で固められたその部屋には円形の棚が部屋を仕切るように置いてあった。 交錯して差し込む美しい光を眺めながら、枯れた深い森の中に居るよう…

『傷心旅行』(ぼんやりモテ男×平凡)

 俺って実は暗いのかなと一時期悩んだりもしたが、一人行動が好きという事実は今も昔も変わらず。一人は楽。一人は自由。一人でいるのが良い。一人最高。 しかし、人にはどうやらオーラというものがあるらしく、一匹狼的な、近寄りがたいような雰囲気を持っ…

『おそろい』(ぼんやりモテ男×平凡)

 自分の欲望には気づいているが、求めたら困らせると分かっている。 困らせてまで求めようとは思わない。横に居てくれればそれで良い。 待ち合わせ時間の十分前。 チェコとリオネは二人きりで立っていた。「どうかエリックとゴドーさんが、二人一緒に来ませ…

『ダッシュ』(ぼんやりモテ男×平凡)

目の前で。 すぐ目の前でカルロがエリックに引っ付いている。 エリックは黙って引っ付かれている。俺がやったら怒るんだよね。 見るものを焼く勢いで、二人を睨んでいたら、「リオネ不機嫌」横でチェコがぼそりと呟いた。 エリックはチェコの言葉を気にせ…

『禁煙』(平凡×男娼、ぼんやりモテ男×平凡)

「はァ?!何時からだよ?!」 大学部と高等部を結ぶベンチの喫煙スペースで、ブルーノ・フランクは甲高く叫んだ。リオネが禁煙に成功したことに腹を立てての大声。 鼻に皺を寄せて、片眉を上げている。リオネにとってブルーノは兄の友人であり、怒りっぽい…

『無味無臭』(ぼんやりモテ男×平凡)

フィオーレ所有の岩山の切れ間を風がビュウビュウと走り抜けていた。 どこもかしこも泥と灰の色をした走行訓練場。夜間訓練のラストは、ここを終着点にする走行訓練といつも決まっていた。岩肌にはり付いて乱れた呼吸に振り回されている者、帰り支度を始める…

『衆人環視』(隠れオネェ×気弱男子)

クドさんの首は太くて力強い。堅い骨の芯があって、少し熱い。馬乗りになって首を絞める体勢でそれを確認する。 「わかった、ありがとう」 背を叩かれクドさんから降りると、クドさんは空を蹴り起き上がって遠くを見た。 「どうですか?」 「感覚は掴んだ」 …