からめ

『お任せします、要さん』(マイペースエリート×庶民派苦労人)

妖怪タウン、地下四層にある要家の大家族十七人が住まう長屋に、朝一番の怒号。 「安栗ーっ、こんの親不孝もんがーッ!」 また安栗である。親父がキレているから、早く止めねーと、と飛び起きた要を、目眩を伴う頭痛が襲った。酒なんてもう二度と飲まねー。…

怪PR社 目次③

目次①へ 目次②へ ◆小ネタ 『夜の虫けら』(執着攻め×強気受け) 鬼李が深夜にふと目を覚ます時、隣に寝ている永吉はたいてい、猫のように丸くなって呻いている。呻き声で目が覚めたわけではなく、直感的に意識が隣に持ってゆかれて目が覚める。昔より頻度は減…

『お願いします、要さん』(マイペースエリート×庶民派苦労人、執着攻め×強気受け)

お願いします要さん、と滝神に言われ、やって来たのは営業部フロア。透けた壁が全体を広く見せる設計が特徴的で、常に誰かが電話で外部と話をしており、フロアの至るところで簡単な情報交換や営業戦略などのやり取りの声が聞こえる。このフロアに入ると、要…

黒羽の服を着た雲

体格差萌うえ。

◆小ネタ 『座らない人』(天然攻め←ナンパ受)

長蔵はその日、東武バスを利用して川越駅に向かっていた。何気なく窓からの景色を眺めていたら見覚えのある顔がバス停の向こう、心臓が高鳴る。遠くからでもすぐにわかる、焦茶の長い髪とハッキリした顔立ち。真っ直ぐひかれた形の良い眉と、平行した切れ長…

無神経 目次①

タイトルをクリックすると作品に飛びます 『ルキノと緊縛』(奇人宗教家×ヤリチン) 『ソウボウキン』(奇人宗教家×ヤリチン) 『カマ言葉で喋っていいか?』(隠れオネェ×気弱男子) 『衆人環視』(隠れオネェ×気弱男子) 『無味無臭』(ぼんやりモテ男×平…

怪PR社 目次②

タイトルをクリックすると作品に飛びます 『お疲れ様です、要さん』(マイペースエリート×庶民派苦労人) 21世紀の妖怪世界は、人間世界とほぼ同じ。 妖力や貧富の差はあれど、経済で回る仕組みが作られ、ほとんどの妖怪は人と関わらず生活している。人を襲…

怪PR社 目次 

タイトルをクリックすると作品に飛びます 目次②へ 目次③へ 『小豆の熱』(生真面目×俺様) 「あら太ぁ~」 廊下から、間延びした低い声が自分を呼んだ。 牛鬼が長いトイレからやっと帰って来たのだ。 まとめた書類を鞄に突っ込み、バタバタとフロアを出る。 …

一日一絵

イオニア・フィオーレ

◆小ネタ 『カンタンな方法』(マイペースな腹黒、我が道を行く堅物、天然な俺様)

トート・マグランはいつも一人、不機嫌な強者として廊下側後ろの、真横に柱のある席を陣取って寝ていた。物音を立てる者がいると、容赦なく妖圧を掛けてくるので、休み時間には皆そそくさと教室を離れる。地下一層、ほとんどの生徒は地上にある妖怪企業に就…

一日一絵

コルクとマルクス。おじさんがコルクです。

一日一絵

グイドさん×トート。

◆小ネタ『気になる股間』(八割男性×自由人)

「今月、調子どうですか?」 「おはぁぁぁ?!」 様々な形のコピー機や、製本機械、文房具の置かれた準備室の壁際、コピー機前待機中にスマホを起動させたその時、その油断しきった耳に突如湿っぽいイイ声が注がれれば誰だって叫ぶ。 「ハンクさん……っ」 ハ…

一日一絵

キケロ×ルカス。いちゃいちゃさせるつもりがしませんでした

◆小ネタ 『湯たんぽ』(強面俺様×強気な相方)

永吉という男は、とにかく身近で都合のいい男だった。性欲をぶつけるのに丁度いい。お互い慰めあうために交わっていた。 「ウ……、ぁ、あか、き……、はぁ、ウ……んぅ、んんッ……ん、んく」 ずっぷずっぷと永吉の尻穴に、猛りを勢いよく挿し込んで、永吉の内側で…

一日一絵

ゴドーとエリック。

一日一絵

シュトール兄弟。ちょっと無神経キャラを描いていきたいと思います。

◆小ネタ 『なしなし』(世話焼き攻め×マイペース営業マン)

のっぺら坊種の野平には顔がない。妖力を消費し、誰かの顔をつくる。誰の顔がいいかを自由に選べる変わり、社会人として働く際には、常に誰かの顔を借り……妖力を消費しなければならない。 童の姿で時の止まった一本もまた、社会では大人の姿を保つよう要求さ…

いめちぇん

◆小ネタ『冗談』(堅物サド×神経質なナンパ師、面倒見の良いオラオラ系)

キケロとエリックは冗談がうまい。その場に四人いれば四人笑う、七人いれば七人笑える冗談を言える。俺は人を笑わせるのが好きだが、滑りがちだ。 「えっ、何て言った?」 上手い冗談を言えるようになりたい。繰り返すとエリックは唇に拳を当てて頬を膨らま…

◆小ネタ 『夜の虫けら』(執着攻め×強気受け)

鬼李が深夜にふと目を覚ます時、隣に寝ている永吉はたいてい、猫のように丸くなって呻いている。呻き声で目が覚めたわけではなく、直感的に意識が隣に持ってゆかれて目が覚める。昔より頻度は減ったが、永吉は時折こうして一人で苦しんでいることがある。は…

泣いた青鬼 コミカライズ

『恩師の声』(ミュライユ×亀、モブ視点)

川越警察署地下にある、川越妖怪警察署の取り調べ室は暗い。蛍光灯がチカチカする狭い部屋に閉じ込めた恩師は、つまらなさそうな顔をして、現れた私を上から下まで見た。 「まだそんな太ってたのか、ちゃんと痩せろよ、可愛いんだから」 警察官になって妻子…

『うしのきもち』(生真面目×俺様)

小学校の時に参加した友人宅のクリスマス会。社会人一年目の時に経験した恋人と過ごす落ち着きあるイブの食事。思い出は美しくぼやけているが、未来は恐ろしく鮮明だ。 「家族と俺と、どっちが大事なんだよ」 不貞腐れた牛鬼を前に、あら太は項垂れていた。…

『鬼の餌』(孤高のエリート部下×万年教育係上司)

『怪PR社』では、管理部の女子社員が中心になって男性社員に向け、バレンタインデーのチョコレートを送る。そのため、ホワイトデーには、今度は管理部の男性社員が中心になり、女子社員に向けて、お返しの贈り物をするのである。 毎年、贈り物の選定をしてい…

『柄黒の行方』(孤高のエリート部下×万年教育係上司)

先日、元部下の野平が、めでたく第二営業部マネージャーに昇進した。 人より飲み込みが遅く、怠け癖があり、協調性のない野平は大変な問題児で、第三営業部でリームリーダーを務める田保の手元に居た時は、ああ、こいつは気をつけてやらないと、すぐ辞めてし…

『海のイロ』(危険色男×強気女子)

泉岳寺の裏にある竹林で、その子は生まれた。明け方まで男同士の荒々しい性交が行われていた寝屋に、朝日と共に強いエネルギーが発生した。神々の知らせを受け、すぐに駆け付けた。 我々が現場に着くと、二人の土親は恥ずかしそうに乱れた身を正しながら、宝…

『筋肉と恋人』(悪女×男前)

出資者の指示で育て屋ベケットに会った。 ベケットにはすでに弟子が一人。 この弟子を倒せば、新しい弟子になれる。 ベケットは大国フィオーレに目を掛けられている育て屋だった。ベケットに送り出してもらえれば、フィオーレの最高兵士『ゴドー』の地位を得…

『幸せな馬』(下半身馬の男×総攻め色男)

丸二日、何も口に入れていない。 亀を保護した馬はまだ目を覚まさず、馬の目が無ければ、この屋敷のものは誰一人亀の身を案じなかった。 『俺にも食事を出してくれ、働いてるだろ、馬の世話をしてる』 西洋の細長く高さのある食卓に着席はさせられるが、食べ…

『可哀想な馬』(下半身馬の男×総攻め色男)

 葉月の末。頭上には青と白のクッキリした美しい晴れ模様が広がっていた。風鈴がひっきりなしに高く鋭い警報のような音を上げ騒いでいた。 妖怪世界と人間世界、双方に向けて門を開いている陰間茶屋、江戸は芳町の『亀屋』を、主人兼仕込み屋として切り…