からめ

怪PR社

『泣いた青鬼』(尽くし系強面×恋多き紳士)

 『怪PR社』の営業部フロアは、第一第二第三を壁でハッキリと分けている。しかし透明に透き通ったその壁は、音こそ遮断されているが、誰がどんな動きをしているのか見渡せるようになっていた。 個人プレイヤーの多い第一営業部は今日も人影がなく、人海戦術…

『オトナとコドモ』(世話焼き攻め×マイペース営業マン)

 二年前、営業から人事に回された時、妙な感覚に襲われた。突然、何もないところで転んだ時のような放心状態。 少しほっとした自分がいた一方で、作りかけの砂山を崩されたような、変な悔しさも残っていた。 自分がそうしたスッキリしない状態のまま移動し…

『小豆の熱』(生真面目×俺様)

 「あら太ぁ~」 廊下から、間延びした低い声が自分を呼んだ。 牛鬼が長いトイレからやっと帰って来たのだ。 まとめた書類を鞄に突っ込み、バタバタとフロアを出る。 広い肩幅と逞しい胸の目立つ、体育会系の肉体を高価なシャツの下に潜ませた色男……『…