からめ

◆小ネタ 『湯たんぽ』(強面俺様×強気な相方)

 永吉という男は、とにかく身近で都合のいい男だった。性欲をぶつけるのに丁度いい。お互い慰めあうために交わっていた。

「ウ……、ぁ、あか、き……、はぁ、ウ……んぅ、んんッ……ん、んく」

 ずっぷずっぷと永吉の尻穴に、猛りを勢いよく挿し込んで、永吉の内側でふつうより少し太い己を容赦なくしごきまくる。茶屋では時々、その大きさ故に拒絶されることもある逸物だったが、永吉はぶつくさ文句を言いながらも、いつも受け入れてくれていた。

「……っや、ンぅ、動き、はや、……はゃ、いッ……、あか……ァ、ァッ……あ」

 放出が近付くと、赤鬼の動きは小刻みに速くなり、永吉の身体が強張って身構える。その反応は少し可愛かったが、何も永吉ばかりが示す反応ではない。抱かれている者特有の緊張。それを、この気安い友人もするのかという小さな感動。

「はぁ、はぁ……ァ、あ……ぁ」

 ぴしゃぴしゃと内側に注がれるものを感じ、永吉の乳首と逸物が勃起した。射精されて感じてしまうなんて、淫乱が過ぎる。怒られるから口には出さないが、永吉は抱かれるのに向いたからだをしていると思う。だから赤鬼も、思い切り欲をぶつけることができた。

「なんでまだ萎えねぇんだよ」

「おまえだって元気だろうが」

 毎夜、仕掛ければ必ず応じてくれるから、赤鬼は永吉の機嫌をとることなど欠片も考えないで済み、それがまた永吉を軽んじる己に拍車を掛けていた。あまり、やりたい放題しては可哀想かと思う一方で、こいつなら大丈夫だろうとも思えた。

「もう、……コレッ、何回目、……だっ、ア、も、……明日、ダメになっ、からぁ、やだ、……も、あぁッ」

 風通しの良い縁側で、雪崩れ込んではじめた。永吉との性交は、いつも気が付くと我を忘れ腰を振っていて、はじめるともう止まらなかった。

「三回目くらいか、……あと二回すれば終わる」

「……も、もっとやってる、ぜった……もっ、ァッ……ひ、ぃっか、一回止まッ……、冷えてっ、きぁッ、赤鬼ッ、……寒ぃからっ……移動、……ッ……」

 涙声の永吉に、肩をバシバシと叩かれてはじめて、汗だくで夜風に長時間晒され、冷えた永吉の身体に気が付いた。赤鬼と繋がった陰部だけ、どろどろに熱いのがいやらしい。

「急には止まれん」

「ん、……う、かぜひ、ひぅ、……ッ……から」

 永吉の尻穴は、何度も精を注がれて、ぬらぬらと蠢き悦んでいたが、永吉自身は疲弊していた。赤鬼にしがみつく腕に力がない。永吉の大きく開かれた股の間、腰はしかし止まらない。いつもよりまだ回数が少ないのに、待ったを掛けられてむかむかに襲われる。赤鬼の性欲がいかほどか知っている癖、なんて思い遣りがないのか。どうしてあと少し耐えようとしてくれないのか。

「……きつ、……キツい、赤鬼……、っ寒い、ァッ……、あっ、なんで、止まれっつってんのに……、逆に激し……なっン……、も……やめっ、ン……」

 永吉の、いつもは低く透き通った声が、高く裏返って熱を帯び、涙で濁っている。赤鬼は永吉の膝を掴むと、股割きをするように開いて引っ張った。奥がビクビクと痙攣し、太腿がバクンととれそうなほど開いた。

「ヒあ゛?!ァッ……ンはッ……アアア?!ぁ゛ッ……?!」

 ひんやりした尻たぶを掴んで、ずんと腰をすすめると、永吉との繋がりが深まり、永吉の逸物が勢いよく白濁を噴いた。

「ひっ、ゥ……、ッ……ふ、ンン……ッ……」

 永吉が言葉にならない言葉をこぼし、感じ入っているのが愉快で、その深さを狙って体重を掛け、何度も腰をうちつけると、パァンパァンと肌のぶつかり合う音が響いた。

 

「……赤鬼、見ろ」

「ぐしゅぐしゅだな」

 翌朝、風邪を引いて不機嫌な永吉と床の中で顔を合わせ、ほんの少し心が痛む。

「てめぇのせいで、熱まで出てる」

 ごわごわ布団の中、腰と腰が触れているせい、何となくいつもより永吉の体温が熱いのには気が付いていた。

「うつすなよ」

「そこはまず俺の心配しろよ、この野郎、絶交だ」

「……俺と絶交したら寂しいぞ」

「そんなんわかってら、言いたいだけだ」

 好き勝手に抱いた体に手を回すと、ピタリと引っ付いてきた。腿と腿が重なりあって汗を掻く。永吉の体から、甘えるような熱がじわじわと漏れ出してきて、愛しく思う。今は柔らかい永吉の性器の感触が腰に、ぽつんとした乳首の感触が脇に。気紛れにいじくることを許されている、他人の敏感な部位の存在に、妙に安心してしまう。酷くしても、こうして慕ってくれる永吉に甘えながら、どんなに尽くしても白けており、追い掛ければ追い掛けるほど遠退いていく青鬼を思う。こんな勝手な男だとばれたら、嫌われてしまうだろう。

「赤鬼は俺のこと、何とも思ってねぇだろうけど……、俺は赤鬼、おまえのこと結構好きなんだぞ」

「あ?!」

 永吉を捨て、大陸に渡ってしまった李帝のことを、永吉はもう諦めてしまっているのかもしれない。ときたま、こうして全力の心を、赤鬼にぶつけて来る。

「だから、あんまり雑に扱われると、ちょっと傷つく」

「……悪かった」

「俺は、好きで、抱かれてる……、あんただから股開いてるんだ、わかってんのか?」

「わかってる」

「わかってるんなら、いいけどな」

 永吉は言ってから、ひとつくしゃみをして、溜め息をついて起き上がった。

「うつすから、離れる」

「……」

 いじらしい永吉は、抱き寄せようとした赤鬼の腕を避け、布団を出ていった。追い掛けて後ろから抱き止めると、黙って布団に引き摺り込む。

「風邪、うつるぞ」

「寒さにはかなわん」

「俺は湯たんぽじゃない」

「湯たんぽだ」

 

 

 

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