からめ

怪PR社 目次②

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『お疲れ様です、要さん』(マイペースエリート×庶民派苦労人) 

 21世紀の妖怪世界は、人間世界とほぼ同じ。
 妖力や貧富の差はあれど、経済で回る仕組みが作られ、ほとんどの妖怪は人と関わらず生活している。人を襲って『肝』を収穫する仕事は第一次産業、日本の都市部ではあまり見られなくなった。

 

『つちおや』(執着攻め×強気受け前提、腐れ縁の上司×部下、第三者視点)

泉岳寺の裏にある竹林で、その子は生まれた。明け方まで男同士の荒々しい性交が行われていた寝屋に、朝日と共に強いエネルギーが発生した。神々の知らせを受け、すぐに駆け付けた。

 

『雲の巣』(天才×平凡)

怪PR社、企画部は幾つかのグループに分かれている。
 そのうち玩具や文具、常用小物についての企画を出しているグループをグッズGと呼ぶ。分かり易い例を上げるとアイドルグループのコンサートや、車のメーカーショー、スポーツ大会、展示会などのイベントで販売されるグッズの企画を行う。グループ内には三つの班があり、実績やアイデアを比べられ、競争させられる仕組みになっていた。

 

『畑のミカタ』(甘党の親分+親分大好き子分)

以津真(いづま)種の以津真 弥助(いづま やすけ)は、先日、管理部から営業部に異動した。周囲には反対され、上司からも渋い顔をされた異動だったが、無理を言って通して貰った。

 

『おやしらず こしらず』(執着攻め×子持ち強気受け、第三者目線)

洋次郎が教育を任された虎松の二親は、川越の賑やかな観光地のただ中、地下一層の高級マンションに居を構え、広いキッチンを持っていた。
 二親とも仕事が忙しく、一ヵ月に一度しかこの空間を使わない。

 

『狼ユーレイ』(無口な喧嘩屋×ヘタレ)

リストラされそうだと後輩から相談を受けた。

 創設五百年の歴史を持つ『ぬり壁セキュリティ』に勤める白鬼種の白鬼 陽太郎(しらき ようたろう)とその後輩、鶴種の鶴 洋次郎(つる ようじろう)の仕事は、要人警護である。近頃、政治家の広報活動をはじめた『怪PR社』の社員を悪党から守るため、役員のみならず末端の社員まで万遍なく警護する。外出する営業の送り迎えや、定期的な社内巡回を行う。
 江戸の頃から、大企業の活動には危険が付き物。古くは用心棒と呼ばれていた喧嘩の達人たちは今、セキュリティと呼ばれている。

 

『甘味デート』(総攻め色男の失恋と友情)

久しぶりに鶴の顔でも拝もうかと『怪PR社』第一営業部に足を運んだ。部員に声を掛けると部長室に通される。
 すると戸の前に、いつもの顔ぶれが立ち並んだ。
「……ヤのつく手下どもか、ご苦労な事だ」

 

『可哀想な馬』(下半身馬の男×総攻め色男)

葉月の末。頭上には青と白のクッキリした美しい晴れ模様が広がっていた。風鈴がひっきりなしに高く鋭い警報のような音を上げ騒いでいた。
 妖怪世界と人間世界、双方に向けて門を開いている陰間茶屋、江戸は芳町の『亀屋』を、主人兼仕込み屋として切り盛りしている亀は、朝から忙しく働いていた。
 その日は数ヶ月に一度ある大掃除の日だった。

 

『幸せな馬』(下半身馬の男×総攻め色男)

丸二日、何も口に入れていない。

 亀を保護した馬はまだ目を覚まさず、馬の目が無ければ、この屋敷のものは誰一人亀の身を案じなかった。
『俺にも食事を出してくれ、働いてるだろ、馬の世話をしてる』

 

『海のイロ』(危険色男×強気女子)

泉岳寺の裏にある竹林で、その子は生まれた。明け方まで男同士の荒々しい性交が行われていた寝屋に、朝日と共に強いエネルギーが発生した。神々の知らせを受け、すぐに駆け付けた。

 

『柄黒の行方』(孤高のエリート部下×万年教育係上司)

先日、元部下の野平が、めでたく第二営業部マネージャーに昇進した。

 

 人より飲み込みが遅く、怠け癖があり、協調性のない野平は大変な問題児で、第三営業部でリームリーダーを務める田保の手元に居た時は、ああ、こいつは気をつけてやらないと、すぐ辞めてしまうなと思った程の駄目部下だった。

 

『鬼の餌』(孤高のエリート部下×万年教育係上司)

『怪PR社』では、管理部の女子社員が中心になって男性社員に向け、バレンタインデーのチョコレートを送る。そのため、ホワイトデーには、今度は管理部の男性社員が中心になり、女子社員に向けて、お返しの贈り物をするのである。

 

『うしのきもち』(生真面目×俺様)

 小学校の時に参加した友人宅のクリスマス会。社会人一年目の時に経験した恋人と過ごす落ち着きあるイブの食事。思い出は美しくぼやけているが、未来は恐ろしく鮮明だ。

 

『恩師の声』(ミュライユ×亀、モブ視点)

川越警察署地下にある、川越妖怪警察署の取り調べ室は暗い。蛍光灯がチカチカする狭い部屋に閉じ込めた恩師は、つまらなさそうな顔をして、現れた私を上から下まで見た。

「まだそんな太ってたのか、ちゃんと痩せろよ、可愛いんだから」